大手運送会社の福山通運(広島県福山市)の元執行役員が約6億円を着服したとされる問題で、警視庁が18日、元執行役員の吉沢信一容疑者(58)を会社法違反(特別背任)容疑で逮捕したことが分かった。捜査関係者が明らかにした。
捜査関係者によると、吉沢容疑者は、福山通運の子会社「ジェイロジスティクス」(千葉県市川市)の役員だった2012年3月~13年2月ごろ、配送業務の下請け業者に指示して金額を水増しした請求書を発行させ、ジェイ社に約1億円を支払わせて会社に損害を与えた疑いがある。容疑を認めているという。
福山通運の調査報告書によると、吉沢容疑者は複数の下請け業者に金銭の支払いを要求。その穴埋めをするため、自身に金銭を支払った業者に対し、実際の業務に架空分を水増しした請求書をジェイ社に提出させていたという。ジェイ社が吉沢容疑者のために過大に支払っていた金額は、09年5月~15年3月で計約6億3700万円にのぼり、一部は業者側にもわたっていたという。16年1月、国税当局の税務調査で不正が発覚した。