名古屋市内のアパートで女性(当時77)を殺害したほか、同級生2人に硫酸タリウムを飲ませるなどしたとして殺人や殺人未遂などの罪に問われた元少女(21)の裁判員裁判が19日、名古屋地裁であった。元少女は「人が死ぬところが見たかった」と殺害動機を話し、女性を狙った理由について、「時期的に一番早く自宅に入って来てくれると思ったから」と述べた。
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この日は殺人事件の被告人質問があり、元少女は検察、弁護側双方の質問に淡々とした様子で答えた。
検察官に殺害時の状況を問われ、宗教の勧誘を機に知り合った森外茂子(ともこ)さんと自宅で会う約束を取りつけた2014年11月末、森さんの殺害を決意したことや、当時、大学の友人2人も殺害対象と考えていたことを明らかにした。
殺害当日の12月7日は森さんを自宅に招き入れ、背後から手おので頭を複数回、殴ったと説明。頭上に両腕を掲げて手おのを振り下ろした様子を再現した。森さんに「殺すつもりなの?」「どうして」と聞かれた元少女は、その場で「はい」「人を殺してみたかった」と答えたという。
殺害の前後で森さんの写真を撮った理由を「人が死ぬ過程の記録を残したかった」と供述。ツイッターで「ついにやった」と投稿した理由は「達成感からかもしれません」と説明した。殺害後に「法に触れることだとだんだん実感してきた」「1週間ぐらいで逮捕されると思っていた」と話した。
弁護側は元少女に精神面に重い障害があるとして「責任能力はなく無罪」と主張している。元少女は公判で、過去にも躁(そう)状態になった時に行動を制御できず「(妹を殺そうと)ナイフを突きつけた」と語った。
昨年から投薬治療を続けている元少女は、弁護側から現在の心境を問われ「人を殺さない自分になりたい」。遺族の思いについては「まだまだ理解できていない。反省につなげないといけない」と述べた。
元少女は12年5~7月、タリウム入り飲料水を同級生に飲ませたとして殺人未遂罪などでも起訴された。