福岡市のJR博多駅前で昨年11月に起きた陥没事故で、地下鉄工事の施工業者が陥没の兆候を示す数値を事故前日に計測していながら市に報告していなかった問題で、高島宗一郎市長は24日の定例会見で、工事の発注者として、施工業者を独自にヒアリングする考えを明らかにした。
特集:博多駅前陥没
施工業者の大成建設JV(共同企業体)は、事故前日に市に報告義務があった異常値を計測していた。高島市長は「(事故原因の)非常に核心、肝ではないか」と述べたうえで、「どうして工事を止めず、補強工事もせずに工事を続行したのか。きちんと止めて補強していたら、例えばあのような陥没事故がそもそも起きなかったんじゃないかと、素人からしたら見えてしまう」と述べた。
事故原因を議論している国の第三者委員会は年度内での結論のとりまとめをめざすが、高島市長は今後、大成JVに事情を聴くべきだとの考えを示し、「この(工事)区間だけ報告しなかったのか、ほかの工事でも報告していなかったのか。今回だけ報告していないならなぜそのような対応なのか、発注者の責任として聞くべきだ」と述べた。
市長によると、高島市長がこうした異常値を知ったのは、事故発生の数日後だったという。「事故直後はデータがないと聞いたが、数日後に『前日に兆候があった』と聞いた」。数値を評価する基準値があり、その値を超えた場合、施工業者が市に報告する義務があったことは「(24日の)報道で知った」などと説明した。(小川直樹)