「モデルにならないか」「テレビの撮影に協力してほしい」「高収入バイトに興味はないか」――。こうした勧誘を受けた若い女性が、性的な行為の撮影などを要求されるケースが相次いでいることが、内閣府のインターネット調査でわかった。勧誘されてモデル契約などをした4人に1人が性的な要求をされていた。
8日に開かれた内閣府の「女性に対する暴力に関する専門調査会」で示された。調査は昨年12月、15歳から39歳までの女性2万人に実施。このうち勧誘を受けたりモデルなどの広告に応募したりした経験のある人5248人から年齢構成などを考慮し、2575人に詳細を尋ねた。
勧誘された時の年齢は、10代から20代前半が大半を占めた。街で声をかけられたり、SNSを経由して勧誘されたりしたケースで約1割、友人・知人から誘われたケースで約2割が、名前や学校名、連絡先などの個人情報を伝えた。
実際に契約に至ったのは197人。うち53人(27%)が契約の際には聞かされていない性的な行為や撮影を求められた。契約を交わしていないのに要求された人も60人いた。要求を受けた人のうち、友人や家族、警察などに相談した人は36人だった。
内閣府の担当者は「若い女性が社会経験の未熟さにつけこまれ、性的な被害に遭っている状況がうかがえる。被害は顕在化せず、相談もできていない」と分析。専門調査会はこの日、こうした性的暴力に関する報告書案も提示。24時間対応の相談体制の整備検討などを盛り込んだ。(高橋健次郎)