「よく仲がいいねと言われます」と話す大石清美さん(左)と実穂さん=行橋市
福岡県苅田町集(あつまり)の大石清美さん(47)と次女実穂さん(20)の母娘が来月4日、同県行橋市の京都医師会看護高等専修学校を卒業する。同校によると、親子がそろって卒業するのは過去20年で初めてという。
清美さんは、双子だった実穂さんの妹を生後6カ月の時に病気で亡くした。その際、世話を受けた経験から看護師になろうと思ったという。ただ、2歳違いの長女を含め子育て中だったため実現できなかった。
それでも思いは断ちがたく、4年半前、同校のオープンキャンパスに参加した。同じ年代の生徒と話す機会があり、「間に合うのでは」と思ったという。夫の「頑張ってみたら」という後押しもあって、受験を決意した。
実穂さんは、看護学生だった姉や看護師の叔母から「大変な仕事だけど資格があると力になる」とアドバイスをもらい、同校の受験を予定していた。そのため、2人で一緒に受験勉強に励み、2015年4月、同時入学を果たした。
学校生活の2年間は、互いが心の支えになったという。主に清美さんが運転する車で一緒に通学した。清美さんは、実穂さんが授業で発表する時は「ドキドキした」と打ち明ける。実穂さんは「(母は)私よりも何倍も努力していたので安心していた」と振り返る。
今月17日に受けた准看護師試験では席が前後だった。「心強かった」と清美さん。実穂さんは「一緒に頑張っているとの思いから安心できた」。合格発表は3月半ばだが、自己採点では2人とも合格点に達しているという。
松村美智恵教務主任は「2人は真面目で何にでも一生懸命に取り組み、優秀です」とたたえる。来月4日の卒業式で巣立つのは33人。清美さんは優秀賞と皆勤賞、実穂さんは努力賞で表彰される予定だ。
ともに卒業後は准看護師として医療現場で働く希望を持っている。2人は「患者さんの気持ちになって接したい」「病気だけでなく心も癒やしたい」と期待をふくらませている。(久恒勇造)