米塚を駆け上がる炎=26日午後1時14分、熊本県阿蘇市、福岡亜純撮影
熊本県阿蘇地域に春の訪れを告げる草原の野焼きが今年も本格化してきた。阿蘇市では26日、一斉野焼きが行われ、山麓(さんろく)の広大な草原のあちこちで炎があがった。ただ、草原の一部では、昨年の熊本地震で作業道が崩れたまま復旧が進まず、野焼きができなくなっている。
阿蘇市ではこの日、観光名所の米塚周辺の草原を含む7カ所で野焼きを実施。火がメラメラと大きな音をたてて燃え広がっていった。一斉野焼きは来月5日にも予定されている。
阿蘇の草原は2万2千ヘクタールと日本最大。このうち牧草地などを除く自然の草地約1万5千ヘクタールは牧野組合や地区が野焼きで維持している。草を焼いて、雑木が茂るのを防ぎ、春には若草が一斉に芽吹く。その雄大な風景は観光の目玉でもある。
だが、今春の野焼きは一部の地区で規模が縮小された。野焼きに使う作業道や草原の斜面が崩れて入れない場所があるためだ。自然の草地は国の農地災害復旧事業の対象外。自治体や畜産関連団体の支援で住民が修復するケースもあるが、被害の大きな草原では復旧がほとんど進んでいない。復旧の見通しが立たず、実施を見送った地区もある。
阿蘇市によると、例年野焼きを…