参院予算委員会理事会での主なやりとり
森友学園との国有地取引に関する財務省の決裁文書をめぐる疑惑は、財務省が過去に開示した内容と同じコピーを提出したことで、さらに混迷の度合いを増す結果となった。野党の反発は強まり、国会審議の先行きは見通せない。政府・与党内にも深刻なダメージを懸念する声が出始めた。
特集:森友学園問題
「国会審議が空転し、混乱しているのは、すべて財務省の対応に起因するものだ」。8日昼に開かれた立憲民主党など野党6党の幹事長・書記局長会談後。立憲の福山哲郎幹事長が財務省への怒りをぶつけた。
財務省が朝の参院予算委員会理事会に提出した決裁文書のコピー。これまで国会議員に開示された文書と同じ内容だった。野党の質問は、書き換え疑惑を解明するうえで、文書が他にあるのかどうか、という点に集まった。
野党議員の一人が「これですべてなのか」と問うと、財務省の富山一成理財局次長は「近畿財務局にあるコピーはこれがすべてでございます」といったんは答えた。ところが立憲の蓮舫氏が「この他に文書が作られていないと明言してくれますね」と迫ると、富山氏は「『これ以外』というところは調査継続中です」と発言を後退させた。
蓮舫氏は理事会終了後、記者団に「審議入りどころか、0・1ミリも前に進んでいない」とぶちまけた。与野党はこの日の審議再開で合意していたが、理事会の紛糾によって日本維新の会などを除く野党議員は委員会をそろって欠席。野党6党は国政調査権に基づく資料提出を求める方針で再び足並みをそろえた。
理事会休憩後に開かれた野党6党の合同ヒアリングでも、財務省の対応の遅さへの不満が噴出。「職員を総動員して調査していて、なんで書き換え前の文書が存在しているかという一点がわからないのか」などと追及が続いた。追い込まれた富山氏は「可能な限り早く結論を出したい」と繰り返し、同席した理財局課長も「自分や同僚が罪になるかもしれないという聞き取りを行っているので」と回答に時間がかかっていることへの理解を求めた。
野党6党は午後、国会内で集会を開き、疑惑解明に向けた気勢を上げた。共産の小池晃書記局長は「これを容認したら、国会で質問するたびに『この文書は改ざんしていないでしょうね』といちいち確認しなければいけなくなり、国会が成り立たなくなる」と述べ、財務省の姿勢を皮肉った。
狂う目算、政権に危機感
財務省による決裁文書のコピー提出で、正常化に向かうはずだった国会の空転が続いたことで、与党の国会運営の目算は再び狂い始めている。
大半の野党が欠席したまま開かれた8日の参院予算委員会。森友学園問題では時折、声を荒らげることもある安倍晋三首相だが、この日は手元の紙に目をやりつつ、慎重に答弁した。
「早期に説明できるよう財務省…