杉良太郎さん(事務所提供)
日ベトナム特別大使としてベトナムと交流を続けてきた杉良太郎さんが、天皇、皇后両陛下のベトナム訪問について思いを語った。
歓迎の音色、両陛下に届け 杉良太郎さん支援の盲学校生
天皇、皇后両陛下には7、8回お会いしていますが、会うたびに、最初に「ベトナムは?」とおっしゃいます。ベトナムは今どうなっているのか。ベトナムの状況はどうなんでしょう。そんな意味を含めていらっしゃる。
お住まいの吹上御所に呼ばれ、ベトナムについて話してくださいと言われたこともありました。ある時、天皇陛下は「ベトナム人はどれぐらいの人が漢字を書けますか」とおたずねになった。ベトナムでは今は学校で漢字を教えていないので、ほとんど読み書きはできません。お年寄りでも(漢字を使える人を)探すのは難しいほどに漢字離れが進んでいます。そうお伝えすると、陛下は「そんなになりましたか」とおっしゃっていました。
両陛下は様々な国の歴史にご関心があり、もちろんベトナムの状況にも詳しく、特にご関心をお持ちになったのには、やはり皇太子さまが(2009年に)ベトナムに行かれたことが大きかったと思います。皇太子さまが現地で見聞きされた様子をしっかりと両陛下に報告されているということがよく分かりました。
私は両陛下の心の中には、長年にわたり戦争を強いられ、最近までずっと戦争をしていたことを踏まえ、平和への強い思いをお感じになっているのではないかと思います。終戦後、600人の日本兵が現地に残りました。ベトナム独立のために、ベトナム兵を正規軍に育てたのです。彼らはベトナムの名前をもらい、ベトナム人女性と結婚して子どもができました。だが、後に日本に帰らないと身の危険があるかもしれないということで日本に帰された。それ以来、ベトナムとは国交がないので会うことができなかった。戦争には様々な傷痕があり、いまだにベトナムの女性は日本軍人である旦那様が帰ってくるのを待っている。この人たちにとって、まだ戦争は終わっていないのです。両陛下は今回、そうした方々とお会いになりますが、一言でも二言でもお言葉を持ってお慰めしたいというお心なのでしょう。
ベトナムは戦争が長く続いただけに、平和がいちばんだということを知っている国。だからこそ、ベトナムが平和で栄えて欲しい、と両陛下は思っていらっしゃるのではないでしょうか。
両陛下のベトナム訪問というの…
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