一回裏日本無死、山田は先制の左越え本塁打を放つ=川村直子撮影
(14日、WBC2次リーグE組 日本8―5キューバ)
山田、ホームラン性の打球が… リプレー検証で二塁打に
特集:WBC2017
一回の攻撃開始からわずか4球目。3試合ぶりに1番に座った山田が、高めの140キロを左中間席中段へ打ち返した。2年連続トリプルスリーの男が、この先頭打者アーチで目覚めた。
「1番打者として一番いい結果が出た」。過去4試合は17打数3安打の打率1割7分6厘。「自分のスイングができていない」と感じていた。しかもキューバ先発のバノスは変則フォームで、稲葉打撃コーチも「(タイミングを)合わせにくい投手」と見ていた。先頭打者に戻った山田が、強振でいきなり攻略した。
「打ち直しの一発」でもあった。7日の1次リーグ初戦。同じキューバ戦で左翼に本塁打性の当たりを放ったが、最前列のファンがグラブで捕球し、判定で二塁打に。それでも「トレーニングをして次はちゃんと打ちたい」と、けろり。ファンが中学生らしいと聞くと、気遣う様子も見せた。1週間後の再戦。今度は正真正銘の一発だった。
不調の間もシーズン中の日課の打撃練習は続けてきた。コーチがトスしたふわりとした球を打ったり、左打席で打ったり。トスを上げる側にも技術が必要だが、ヤクルトのスタッフは不在。そのため他球団の打撃投手に頭を下げ、手順を説明して覚えてもらった。
勢いづいた山田は三回にも左翼線二塁打、五回は四球で好機を拡大した。いずれも筒香の適時打で生還。さらに八回、試合を決定付ける2ランを放った。(伊藤雅哉)