四回表阪神2死、本塁打を放つ秋山=時事
(8日・プロ野球 阪神9-0巨人)
投打の「二刀流」は、海を渡った大谷翔平(エンゼルス)だけではないようだ。愛媛・西条高時代に高校通算48本塁打を放ち、「伊予ゴジラ」と呼ばれた阪神の秋山拓巳。投げる方はもちろん、この夜はバットでも主役を張った。
二回、1点を先行し、なお1死満塁。山口俊の外角速球をとらえた。「自分を楽にした。助かった」と振り返る当たりが左前で弾み、2点目。四回2死は、またも外への速球だった。芯でとらえると、飛距離は前の打席より大きく伸び、左翼ポール際へのソロ本塁打。逆方向へ、野手さながらの一発に「びっくりしました。おまけです」。
6連戦、最初の試合。本人の頭の中は、可能な限り長いイニングを投げることで、いっぱいだった。今季2度目となる東京ドームのマウンドは、探り探り。走者がいなくてもセットポジションから投げたり、振りかぶったりを繰り返した。ペース配分を考えずに序盤から飛ばし、六回まで二塁を踏ませなかった。
八回を投げ終え113球。ベンチでスタミナを心配した金本監督が、近づいてきた。秋山の「行かせてください」で、続投が決定。前回登板で失点した九回は、守りに助けられた。
「打」のコメントは、あっさりしていたが「投」には充実感がにじんだ。「自分じゃないみたいです。8年ぶりの完封というのは、恥ずかしい。(九回は)絶対に完封してやろうと思っていた」。新人だった2010年以来の完封は、投打に独り舞台だった。(井上翔太)