パリで23日、テレビ番組に出演した野党・共和党の候補、フィヨン氏=AFP時事
フランス大統領選で、支持率急落にあえぐ野党・共和党の候補、フィヨン氏が23日、数々のスキャンダル報道の情報源はオランド大統領側だと名指しして非難した。国家権力のトップに矛先を向けて選挙妨害を訴えることで、苦境の打開を狙ったとみられる。
公共放送のテレビ番組に出演し、近く出版される政治関係の本の内容を見たと説明。「オランド氏は関心のある捜査の情報をすべて手に入れていると書かれていた。完全な違法行為だ」と強く批判した。ルイ14世時代などにつくられていた「キャビネ・ノワール」と呼ばれる闇組織になぞらえ、大統領府内の組織がメディアに情報漏洩(ろうえい)をしているとの見方を示した。
フィヨン氏はこれまで、妻の架空雇用をめぐる公金流用疑惑など、捜査情報が次々とメディアを通じて明るみに出ることに批判を繰り返してきた。「ようやく闇組織を見つけた」と語った。
これに対して大統領府は即座に反応し、「完全に虚偽の話だ。可能な限り強い言葉で非難する」と声明を発表して全面否定した。さらにフィヨン氏が批判の根拠として言及した本の共著者の一人は、「そんな内容は書いてない」と仏メディアの取材に語った。
仏紙ルモンド(電子版)は24日、「いちかばちかの一手」と評し、「大統領に最も近い男」とも言われたフィヨン氏の窮余の策との見方を報じているが、その効果のほどは未知数だ。(パリ=高久潤)