福岡県筑後市のリサイクル店の従業員ら3人が死亡した事件で、殺人罪などに問われた経営者夫婦の夫、中尾伸也被告(50)の控訴審判決が27日、福岡高裁であった。山口雅高裁判長は、3人とも傷害致死罪に当たるとして懲役28年(求刑無期懲役)を言い渡した一審・福岡地裁判決を支持し、検察・被告側双方の控訴を棄却した。
一審判決によると、伸也被告は妻知佐受刑者(48)=懲役30年が確定=と共謀。2004年6月、従業員日高崇さん(当時22)の顔を殴るなどの暴行を繰り返し、死亡させた。また06年10月、義弟の冷水一也さん(当時34)とその息子大斗ちゃん(当時4)に対しても繰り返し暴行し、死亡させた。
日高さんに対する殺人罪で起訴した検察側は、控訴審で「(死ぬかもしれないという)未必的な殺意があった」と主張。伸也被告側は、一部の事件で知佐受刑者との共謀はなかったなどと主張し、「量刑も重すぎて不当だ」と訴えていた。
高裁は日高さん事件について、日高さんは逃げ出すことも可能な状況だったなどとして、伸也被告の日高さんへの殺意は肯定できないとした。(張守男)