自民、公明両党は29日、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案について、来月6日に審議入りさせる方針を固めた。早期に審議入りすることで会期末の6月18日までの成立を図る狙いだが、「森友学園」問題で与野党の対立が続く中、対決法案の審議入りを強行すれば、野党の反発は必至だ。
両党幹部の29日朝の会談で、自民の竹下亘国会対策委員長が来月6日の衆院本会議での審議入りを提示。政府が先に提出した性犯罪を厳罰化する刑法改正案が同じ法務委員会に付託されることから、公明の井上義久幹事長は「被害者団体の期待がある」として異論を唱えたが、午後の両氏による調整で公明も容認に転じた。30日の党常任役員会で確認する見通しだ。
ただ、野党は森友学園の問題で政府への追及を強め、「共謀罪」法案に対しても反対の立場だ。民進党の安住淳代表代行は29日の記者会見で、「国民的ニーズからいえば、刑法改正を急がなければならない」と述べ、「共謀罪」の優先審議には反対する構え。
野党が審議に応じる見通しが全く立たない中、仮に与党が委員長職権を使って審議入りを強行すれば、その後の法案審議は冒頭から混乱する可能性がある。