米ニューヨーク・タイムズスクエアの現場。7番街で停車している消防車両の右奥に見えるのが歩道に突っ込んだ車。右側の前部が大破している=18日午後0時31分、金成隆一撮影
米ニューヨークの中心部タイムズスクエアで18日正午(日本時間19日午前1時)ごろ、乗用車が歩道に突っ込み、歩道を3ブロック走って多数の歩行者をひいた。18歳の女性1人が死亡、計22人がけがをした。当局によると、テロとの関連を示す情報はないといい、運転していた男(26)を逮捕して調べている。
NY中心部に車、1人死亡 運転手拘束 警察はテロ否定
現場は観光名所タイムズスクエアの真ん中を走る7番街。ミュージカル劇場が集まり、世界中の観光客や遠足の子どもらでごった返していた。市警によると、車は一方通行の7番街の車道を南に進んでいたが、突然42丁目の手前でUターンして歩道に乗り上げ、逆走して歩道の通行人をなぎ倒しながら暴走。45丁目の車止めの支柱に乗り上げて止まった。犠牲になった女性は妹(13)と一緒に歩道にいたという。
運転していた男は、元米海軍兵のリチャード・ロハス容疑者。飲酒運転歴があり、市警はアルコールと薬物の摂取の有無を調べている。一方、同容疑者には自殺願望があったとの地元報道もある。
路上で写真を売っていたカルマ・ナムギャルさん(49)は「4、5人が吹き飛ばされたのを見た。女性2人が路上で出血し、ぐったりしていた。(衝撃で)しばらく凍り付き動けなかった」と話した。ペンシルベニア州からの修学旅行生の女子生徒(13)は「衝突音とガラスの割れる音がして振り向いたら、ひっくり返りそうな車の下から大きな炎が上がった」と震えながら話した。
ホットドッグ販売員のイハブさん(52)によると、運転していた男が逃げようとしたのを一般の通行人らが取り押さえた。バス切符の販売員アルファ・バルデさん(57)はその一人。警察が手錠をかけるまで男の首元を押さえ、男が武器などを身につけていないかも確認したという。
「この街で働いて20年。いつも屋外を歩いているから銀行強盗をつかまえたこともある。今回もよい仕事ができた」と話した。(ニューヨーク=金成隆一)