経営破綻(はたん)した東芝の米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の売却先を巡り、米トランプ政権が中国勢による買収を警戒し、米国の同盟国への売却を模索していることが明らかになった。米ブルームバーグが5日までに報じた。6、7日に米フロリダ州で開かれる米中首脳会談で、議題になる可能性もあるという。
トランプ政権は先月末、WHが米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請した際、安全保障上の懸念を示していた。エネルギー省の報道官は先月、WHなどの関係者が「経済成長を促進し、米国のエネルギーや安全保障を強化する形での合意ができるよう期待する」としたうえで、「米政権は状況を注視している」と述べた。
報道によると、ペリー・エネルギー省長官、ムニューシン財務長官らが、中国関連の企業などによる買収を防ぐ方向で対応を協議している。米国や同盟国への売却、米政府による国有化などが検討されているという。中国企業は何年にもわたりWHに関心を示しており、中国のスパイ活動の対象になっていた。
特に懸念されているのが、軍事にも転用できる核技術の流出だ。米国では、安全保障上の懸念がある外国企業による買収を大統領が阻止することができ、こうした制度の検討も進められている模様だ。(ワシントン=五十嵐大介)