熊本地震で被災した益城町の小学校を17日に訪問し、子どもたちと記念写真を撮る巨人の長野(左)と立岡
(18日、巨人3―0ヤクルト)
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がむしゃらに走った。一回の巨人の攻撃。2死からの阿部の打席で、投球と同時に一塁走者の立岡は、スタートを切った。左中間へぽとりと落ちる打球を確認し、加速する。二塁を回り、三塁も蹴った。球審の両手が広がった。スタンドを埋め尽くした観客が、どっと沸いた。
11年ぶりに熊本で開かれた巨人の試合。地元出身の26歳は主役の座を渡さなかった。好走塁で先取点を奪った直前に左前安打で出塁。三回には投手強襲安打、五回にも右前安打で今季初めての1試合3安打だ。「すごく緊張した。熊本のみなさんが力をくれたと思う」
昨年4月に予定されていた熊本での公式戦は地震の影響で中止になった。年末、震災後に初めて帰省したとき、「言葉が出なかった」という。当たり前だった光景が変わっていた。2度の震度7が襲った益城町にある母校・鎮西高のグラウンドに亀裂が入ったと聞き、「ショックすぎた」と見に行くことができなかった。
熊本を元気にするために何ができるか――。自問自答を繰り返し、「精いっぱいプレーすること。僕にはそれしかできないと思った」。オフには野球教室を開き、この試合の前日には益城町の小学校を訪れ、活躍を誓った。
試合後のお立ち台。最高の景色が広がっていた。360度から聞こえる「立岡」のコール。子どももお年寄りも、笑っていた。(山口裕起)
○菅野(巨) 初めて熊本を訪れた27歳は、今季初完封。「最後までマウンドに立ててうれしい。きょうで熊本が大好きになった」
○高橋監督(巨) 「菅野はエースらしい投球だった。立岡も、地元で活躍した姿を見せられてよかった」
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●山中(ヤ) 地元・熊本での登板を白星で飾れず。「立岡にナイスバッティングをされてしまった。次は抑えたい」