ディック・ブルーナさん未発表遺作「de beer is dood(クマくんがしんだ)」(C)Dick Bruna
ミッフィー(うさこちゃん)の作者で、今年2月に89歳で亡くなったオランダのグラフィックデザイナー・絵本作家のディック・ブルーナさんが、遺作となる未発表絵本を残していたことがわかった。19日から東京の松屋銀座で開かれる「シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン展」(朝日新聞社など主催)で初公開される。
絵本は「de beer is dood(デ・ベーア・イス・ドート)」。オランダ語で「クマくんが死んだ」という意味になる。1956~71年に文庫本のPRポスターにデザインし、ブルーナさんの出世作となった黒い熊「ブラック・ベア」があしらわれている。過去に発表したポスターを元に11枚の挿絵を描き、本が好きだったクマくんの死を悼む物語になっている。
ブルーナさんの著作権管理や出版を手がけるメルシス社(オランダ)によると、ブルーナさんは2011年、この絵本の原稿を示して出版を依頼したものの、内容から「死後に出版されるのがふさわしい」と見送られた。翌12年にブルーナさんは高齢のため、創作活動から引退した。
同社のマーヤ・ケルコフ社長は「残念だが出版の時がきた。この絵本は故人の関係者だけに送り、彼の死を悼みたい」と話し、今のところ市販する予定はないという。
ブルーナさんは「ちいさなうさこちゃん」など124作の絵本を残している。(森本俊司)