森友学園が開校を断念した小学校の建設現場
1カ月ぶりの公の場で語られたのは、安倍晋三首相の妻、昭恵氏とのやりとりだった。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題。学園の籠池泰典・前理事長は28日、民進党のヒアリングに応じ、国との土地取引の交渉の最中、たびたび昭恵氏に経緯を報告していたと説明した。
特集:森友学園問題
「真っ先に(小学校建設の)構想について、相談したのは尊敬する安倍晋三首相夫人の昭恵先生」
東京・永田町の衆院第二議員会館。紙に目を落としながら、籠池氏が語り始めた。議員や報道陣に対し「この問題をしっかりと解明のほどよろしくお願いします」とも訴えた。
籠池氏の説明によると、小学校建設を目指していた国有地に昭恵氏を案内したのは2014年4月。籠池氏が財務省との交渉を説明し、早く工事を進めたいとの意向を伝えたという。「(昭恵氏の)心の中に留めていただいた」と当時を振り返った。
「難局」にさしかかると昭恵氏に電話をかけた。「私は2~3分で終わる話ですが、家内の場合は1~2時間ほど携帯電話で話をしている」と明かし、電話の回数を尋ねられると「私の方は20回は超える」と答えた。
話題は、昭恵氏付の政府職員が15年11月、国有地に関する財務省への問い合わせ結果を籠池氏にファクスで送った経緯にも及んだ。籠池氏が「ちょっと急ぎます」と昭恵氏に留守番電話を入れると、職員から籠池氏に電話で連絡があったという。「これは大切なことなのできちっとした文書にしてほしい」との依頼が職員からあったため、「私の汚い字で」手紙を郵送したと説明した。
籠池氏は「総理夫人は、私人としての顔と公人としての顔がある」と述べ、こう言った。「でもやっぱり、公人という顔でみなさん見られるんじゃないか」
一方、籠池氏が昨年3月に財務省幹部と面会した際、学園との土地契約について幹部が「特例」と述べたことが、籠池氏による録音データで明らかになっている。財務省は28日、民進党のヒアリングに対し「(幹部は)詳しい話を覚えていない」としつつ「名誉校長が誰であれ、処分手続きは法令通達に沿って行っている」と説明した。(岡戸佑樹、杉浦幹治、小早川遥平)