米下院は4日、北朝鮮への制裁を強化する法案を賛成多数で可決した。北朝鮮労働者を雇った外国企業や北朝鮮と取引する金融機関に制裁対象を広げるほか、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定することを政府に求めた。北朝鮮による核・ミサイルの開発の資金源を断つ狙いがある。
法案は賛成419、反対1で可決した。上院でも可決の見通しで、トランプ大統領が署名して成立する。
ロイス下院外交委員長は「北朝鮮を支援する中国などの銀行や企業に、取引先を北朝鮮か米国かの選択を迫ることになる」と語り、北朝鮮の最大の貿易相手国である中国の企業が主な対象となることを強調。北朝鮮に核兵器を放棄させるため中国に影響力行使を求めるトランプ政権を後押しした形だ。
法案では、北朝鮮が外貨獲得のために海外に派遣している労働者を雇っている外国企業に制裁を科すことができる。北朝鮮労働者が生産に関わった製品の輸入も禁じる。韓国国家情報院の報告によると、北朝鮮は50を超す国・地域に約5万8千人の労働者を派遣。推計で年間約2・3億ドル(約260億円)の外貨を得ているという。
このほか、国連安全保障理事会の制裁決議を順守していない国の船舶が米国に寄港することを禁じるほか、北朝鮮からの輸入品の検査をする港湾や空港の監視強化も盛り込んだ。北朝鮮から大量の農産物や鉱物を輸入した企業も制裁対象となる。(ワシントン=峯村健司)