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基地の街で暮らす作家が問う 沖縄は豊かになったのか

写真・図版


崎山多美さん


■作家・崎山多美さんに聞く


日本に復帰して45年。沖縄は豊かになったのかと問われれば、経済的にはある程度、恵まれてきました。観光客数は伸び、外資系ホテルが次々と建ち、一見華やかに見える。しかし、その陰で、今までとは違った次元のひずみが生じています。


特集:沖縄はいま


沖縄復帰45年、光と影 観光急成長・子の貧困率最悪…


格差や貧困です。私が暮らす旧コザ市(沖縄市)は「基地の門前町」として栄え、寂れたまち。復帰前は米軍を当てにして貧しい地域や離島から人々が集まり生計を立てました。復帰後は円高が進むにつれ基地の経済的恩恵がなくなり、別の仕事に転じていく人がいる一方、変化に対応できずに立ちゆかなくなった人たちがいます。それが10年、20年と過ぎて格差として顕在化している。


昨年初めて、子どもの貧困率で沖縄県が全国で突出していることがわかりました。沖縄市など本島中部は特に高いとみられています。私の周囲にも、米兵の夫が本国に帰国してしまった母子家庭や、その次の世代も多く、不安定な生活を送っています。


格差や貧困は全国的な問題ですが、沖縄では、負担の減らない米軍基地、日米安保が背景として複雑に絡み合い、さらに、数字上は明るく見える経済指標がそれを覆い隠しているように思えます。沖縄が豊かになった、と言われることへの違和感が私にはあります。



さきやま・たみ 1954年、沖縄・西表島(いりおもてじま)生まれ。沖縄方言を駆使した作品で知られ、「水上往還」「シマ籠る」で芥川賞候補。近著に「うんじゅが、ナサキ」。



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