中国主導でアジア、中東、欧州に及ぶ経済圏づくりを目指す「シルクロード経済圏構想(一帯一路)」の国際会議が15日、参加国の協力を強める共同声明を採択して閉幕した。記者会見で中国の習近平(シーチンピン)国家主席は「積極的成果が出せた」と意義を強調。次回の会議を2019年に開くことも決め、中国が国際社会に呼びかける首脳会議を定期化することを明らかにした。
一帯一路首脳会議始まる 130カ国以上の代表参加
習氏は29カ国の首脳らが参加した会議後の会見で経済圏を「運命共同体」と表現。「シルクロード精神を伝え、協力し共に利益を得る」と語った。首脳らは共同声明で「一帯一路を歓迎し、支持する」と強調。中国の提案のもと、各国が経済政策や発展戦略で足並みをそろえる姿勢を示した。
また、中国が重視する貿易やインフラ投資のほか、気候変動への対応や社会保障面での協力などにも踏み込んだ。
一帯一路は13年秋に習氏が自ら提案した経済圏構想。共同声明と同時に発表した成果リストには、インフラ整備に使うシルクロード基金への1千億元(約1兆6400億円)の増資や参加国・地域への600億元の援助など、中国が提供する支援が目立った。
中国の購買力がもたらす恩恵も強調。14日にあった貿易が主題の会議では鍾山商務相が、今後5年で中国が一帯一路の沿線国家・地区から2兆ドル(約226兆円)の商品を輸入すると述べた。期間中、中国は参加した国家や国際組織と68の協力協定に調印している。
共同声明には「自由貿易を確保し、一切の保護主義に反対する」との表現も盛り込まれた。トランプ政権下で保護主義を歩む米国への牽制(けんせい)とみられ、既存の国際秩序への対抗ともとれる。(北京=福田直之)