(16日、日本ハム8―2ロッテ)
初々しいヒーローインタビューだった。日本ハムのドラフト2位、加藤は「千葉県出身の加藤貴之です。背番号14番です。よろしくお願いします」。まるで入団会見のように、4万人を超える観衆に改めて自己紹介した。
中継ぎで開幕1軍を手にしたが、ここまで2勝の有原を腰痛で欠くため、急きょ先発ローテーションに入った。社会人の新日鉄住金かずさマジック時代の豊富な先発経験が買われたからだ。1週間前の前回登板は、二回途中でノックアウト。1点のリードを守ろうとするあまり、1イニングで3四球と自滅した。
2度目の先発では、失敗を繰り返さない。「打者一人ひとりに全力投球した」。フォークを低めに集め、六回で交代するまで、すべての回で先頭打者を打ちとった。しかも無四球。捕手の市川は、「前は顔が真っ白だったけど、きょうは冷静に持ち味が出せていた」。パ・リーグの新人で最初に白星を手にした。
先発ローテーションの谷間を新人左腕が埋めての連勝に、チームの士気は当然上がる。17日の先発は防御率1点台ながら、いまだ勝ち星に恵まれない大谷だ。4番の中田は力を込める。「野手全員が思っている。翔平(大谷)が投げる試合は、確実に取るんだと」。エースで勝ったとき、ようやく札幌ドームにも春が来る。(山下弘展)