当時を知る三洋電機の元社員たち。人間洗濯機には、紙に描いた「モデル」に入ってもらった=大阪府大東市、滝沢美穂子撮影
■おおきに!「勝手に関西遺産」
人間を全自動で洗ってしまおうという「未来のお風呂」の発想が、半世紀近くも前に、関西でカタチになっていた。その名も「人間洗濯機」。大阪で創業した三洋電機(2011年、パナソニックの完全子会社に)が開発し、1970年の大阪万博の「サンヨー館」で展示された。
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正式名は「ウルトラソニック・バス」と言う。高さ約2メートル、宇宙船をイメージさせる巨大な流線形カプセルだ。人は中のイスに座り、あとは身をゆだねるだけ。かかり湯の後、お湯がたまってかき回され、気泡も発生。体の汚れを落としてくれ、突起のついた小さなボールが体に当たって「マッサージ」も。健康や美容効果をうたった。最後は温風が吹き出し体を乾燥。時間にして15分。
サンヨー館には半年で586万人が詰めかけ、水着姿の女性モデルの入浴実演を固唾(かたず)をのんで見守った。宣伝担当だった福田成美さん(83)は「あんなに話題になるとは誰も予想できませんでした」と振り返る。
三洋電機の創業者、故井植歳男…