豊洲市場の地下水から環境基準を超す有害物質が検出されている問題で、東京都は18日、安全性を保つための追加対策工事費を約35億~80億円とする試算を示した。豊洲市場の土壌汚染対策費は860億円に上っており、小池百合子都知事が築地市場の豊洲移転を決めた場合、追加工事費が上乗せされることになる。
追加対策案は、建物地下の土壌が一部むき出しになった部分をコンクリートや遮蔽(しゃへい)効果がある特殊シートで覆ったり、換気設備を設けたりする内容。気化した有害物質が市場の地上部分に入るのを防ぐ狙いがある。また、地下水の有害物質濃度を下げるため、ポンプの機能を強化して排水能力を向上させる。都は、これらの対策工事費について、地下をコンクリートで覆う場合は35億~45億円、特殊シートを使う場合は70億~80億円と試算しているという。
対策案は、豊洲市場の安全性を検討している都の専門家会議(座長=平田健正・放送大和歌山学習センター所長)が18日、都の費用試算とともに示した。同市場では主な施設の下に、土壌汚染対策の盛り土がされていなかったり、地下水から環境基準の最大100倍のベンゼンなどが検出されたりしている。地下水の継続調査では3月に続き、最大100倍のベンゼンが検出された。追加対策で、地下水の汚染濃度を環境基準以下に抑えることを目指すという見解を示す見通しだ。(小林恵士)