体操競技の得点算出法
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2020年東京五輪の体操男子団体総合で連覇を目指す選手たちの間でいま、困惑が広がっている。五輪翌年に採点規則が変更されるのが通例で、新ルールでは技の完成度をより厳しく判定することになった。難度の高い技を追求し続けるのか、あるいは出来栄えの美しさに重点を置くのか。そのはざまで選手たちは揺れ動く。20日からは、新規則の下で国内2戦目となるNHK杯が東京体育館で始まる。
リオデジャネイロ五輪で白井健三が世界で初めて成功させた高難度の「伸身ユルチェンコ3回半ひねり」の連続写真=長島一浩撮影(24枚を合成)
■内村はEスコア狙い、白井はDスコア重視
リオデジャネイロ五輪後に変更された新規則の下での最初の国内大会は、4月の全日本個人総合選手権。やはり新規則で行われた2月のW杯(オーストラリア)の映像と採点を参考にした選手たちは、技の完成度や出来栄えを見るEスコアの採点が「厳しくなる」と考えていた。
しかし、予想外に第1日の予選は甘めな採点。男子は学生が3位までを独占したが、順大の原田監督は「選手も審判もまだ手探りの状態で、採点にばらつきがあった結果」と話す。2日後の決勝では、今度は採点が辛くなり、本調子ではなかったが、ミスを極力抑えた内村航平(リンガーハット)が逆転で10連覇を達成した。
新規則にどう対応するかは、選手によって違いが出ている。
内村はNHK杯に向けて、「Dスコアを上げるつもりはない」として、難度を下げてEスコアを取る狙いで、多くの選手は同様の方針だ。一方、白井健三(日体大)は得意とするゆかと跳馬で高い難度で臨んだ全日本個人総合選手権で3位に入り、「(戦略は)間違っていなかった」。Dスコアを稼ぐ考えを明かしている。