第3戦でシュートを放つ川崎のファジーカス(22)
Bリーグ初代王者を決めるチャンピオンシップ(CS)準決勝が21日まで行われ、栃木(東地区1位)と川崎(中地区1位)の決勝進出が決まった。準決勝は2カードとも1勝1敗の接戦となり、第2戦終了後に引き続き行われる前後半5分ずつの第3戦で決着がついた。旧bjリーグが採っていた特殊な競技方式をそのまま持ち込んだが、準決勝に残った4チームはいずれも旧NBL勢で、初めての経験。わずか10分間の戦いで明暗が分かれる第3戦は、選手にもファンにも記憶に残る戦いとなった。
「第2戦に勝ったチームが第3戦も勝つという感触を持っていたが、今回はうちが勝った。このルールが続くとすれば、そのへんが面白いところかな」。川崎の北卓也監督はA東京との第3戦に勝った後、そう話した。川崎は第1戦に勝ったが、第2戦は残り12秒で逆転され、1点差で敗れた。第3戦との間の15分間は「とにかく休め」と選手に指示したという。第3戦は前半こそ3点のリードを許して折り返したが、後半に逆転して逃げ切った。
敗れたA東京の伊藤拓摩監督は「来年もこのルールなんですかね。ぜひ見直して欲しい」と不満げだ。第3戦の前には、ファウルやタイムアウトの回数のルールを選手としっかり確認したという。「うちが劣っていたとは思わない。(相手は)たまたまシュートが入って、(うちは)たまたまシュートが落ちたと思っている」と悔しさをにじませた。
栃木―三河の第2戦は、第1戦に敗れて後がない三河が、最大で19点をリード。残り3分で栃木に同点とされたが、三河が逃げ切って1勝1敗に。第3戦も最後まで競り合いとなったが、残り2秒で栃木が2点勝ち越して決勝進出を勝ち取った。
栃木のトーマス・ウィスマン監督は「昨日の川崎―A東京も今日の試合も、とてもエキサイティングな展開になった。もしかしたらなかなかいいルールなのかもしれない」とご満悦。タイムアウトが前後半1回ずつしか取れず、持ち越すこともできないなどといった細かな点だけ「ルールの変更を」と求めた。
一方、敗れた三河の鈴木貴美一(きみかず)監督は「やったことがないのでエネルギーの持っていき方が難しかった」と話しつつ、「でもそれは相手も同じだし、言い訳になってしまう。ルールについていろいろ言うつもりはない」と口をつぐんだ。
B1の残留プレーオフ(PO)とB2のPO準決勝も合わせると、計4カードで第3戦に突入したが、偶然にもすべて、第1戦に先勝したチームが第3戦を制した。
B1準決勝2カードのもう一つの共通点は、本拠のチームが第3戦で競り勝ったことだ。川崎の主将の篠山竜青は「第2戦と第3戦の間にたくさんの声援をもらえた。とどろき(川崎市とどろきアリーナ)があんな声援でいっぱいになることは初めて。素直に楽しかった」。栃木の主将の田臥勇太は「苦しい時に(声援が)後押ししてくれてパワーをもらった。感謝の気持ちでいっぱい」と話した。
Bリーグが特殊な第3戦のルールを採用したのは、第3戦が行われなかった場合に会場などをキャンセルするリスクを避けたためだ。来季の方式は未定で、増田匡彦競技運営部長は「旧NBLのチームが初めて経験したところなので、今季の実績を踏まえてこれから議論していきたい」と話している。