会見で地方競馬通算7千勝を手でアピールする的場文男騎手=22日午後、東京都品川区、柴田悠貴撮影
地方競馬で7000勝を記録した騎手、的場文男さん(60)。記録を達成した17日夜は酒が進んだ。「ちょっと飲み過ぎましたね」。自宅で繰り返し、レースの映像を見ながら、美酒に酔った。それでも翌日は朝から調教のために馬に乗り、午後からレースをこなした。
60歳の的場騎手、地方通算7千勝 日本競馬史上2人目
「大井の帝王」と呼ばれる。17歳でデビューし、27歳で初めて最多勝に輝いて以来、計21度も東京・大井競馬場の年間首位に輝く。還暦の今でも1年で1千レース以上に騎乗し、コンスタントに100勝以上を挙げる。
福岡県出身。父親が馬主、兄が佐賀競馬場の騎手という家庭に育った。「兄とは違う競馬場で」と、大井競馬場を拠点に選んだ。「デビューした頃、7千なんて想像もつかなかった」
両足で馬を挟みこむように乗り、ゴール前、全身を使って馬を駆る。馬の上で踊るような独特のフォームは「的場ダンス」の異名を取る。
7千勝は自らに課した「宿題」だった。それを成し遂げ、今度は夢だと話す二つの「目標」に向かう。
一つは佐々木竹見・元騎手が持つ歴代最多7151勝の更新。二つ目は地元の大レース、東京ダービーの優勝だ。35回の出場ながら、未勝利。2着が9度もある。「目標がある限り、続けられる。馬を降りたら、ただのおっさん。ただのおっさんにはなりたくないから、まだ頑張りますよ」(有吉正徳)
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22日に行われた7千勝達成の記者会見で、的場騎手は思い出の勝利として2レースを挙げた。
いずれも地元の大井競馬場で行われた帝王賞。
一つ目は1997年。コンサートボーイに騎乗した一戦。中央競馬から遠征のバトルラインは武豊騎手とのコンビで臨んでいた。その前走のかしわ記念(船橋競馬場)ではバトルラインが1着で、コンサートボーイは3着だった。
1番人気はバトルライン、コンサートボーイは4番人気だった。レースはバトルラインが逃げる展開になった。コンサートボーイは3番手で本命馬をマークした。残り100メートルでコンサートボーイがバトルラインをかわし、外から迫るアブクマポーロに競り勝ち、優勝を果たした。
二つ目は2007年。やはり中央競馬から遠征した1番人気のブルーコンコルドを、5番人気のボンネビルレコードで下したレースだ。ともに本命馬を破った「金星」だった。