フィリピンのドゥテルテ大統領。写真は4月29日にマニラであったASEAN首脳会議の記者会見の様子=AFP時事
フィリピンのドゥテルテ大統領は23日、南部ミンダナオ島全土と、バシラン島を含むスールー諸島に、現政権で初めての戒厳令を宣言した。同地域はイスラム系武装勢力の活動拠点で、ミンダナオ島南ラナオ州マラウィ市では同日、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を示すマウテグループと政府側の交戦が続いている。
ロシアを訪問中のアベリヤ大統領報道官がモスクワで会見し、明らかにした。戒厳令は暴動などが起きた際に憲法で認められた措置で、司法権や行政権などが一時的に軍の管理下に移行する。期間は60日。ドゥテルテ大統領はロシア訪問を切り上げ、24日帰国する。
会見に出席したロレンザーナ比国防相によると、マラウィ市には過激派組織アブサヤフのハピロン幹部のアジトがあり、国軍と国家警察が23日に逮捕に向かっていた。これに抵抗する15人のマウテのメンバーや支持者が政府側に発砲し、衝突したとみている。この交戦で警官1人と兵士2人が死亡、8人がけがをした。
マウテは市刑務所や教会に火を…