英中部マンチェスターのイベント会場でコンサート終了直後に22人が死亡した自爆テロ事件で、英警察は、死亡した実行犯をリビア系英国人のサルマン・アベディ容疑者(22)と特定した。警察は24日、「ネットワークを捜査している」と述べ、同容疑者の単独犯行ではなく、組織的との見方を示した。
地元警察は24日、事件に関連してマンチェスター南部で新たに男3人を拘束。拘束者は計4人になった。このうち警察が23日に拘束した男(23)について、英メディアはアベディ容疑者の兄と報じた。
ラッド内相は24日、治安当局が事件前からアベディ容疑者を把握し、「ある程度」知られた存在だったと述べた。ただ詳細は「捜査中」として明かさなかった。英タイムズ紙は同容疑者が3週間前にリビアに渡り、事件の数日前に帰国したと報じた。
アベディ容疑者はマンチェスター出身で、両親はリビアからの移民。コロン仏内相は24日、英当局からの情報として「リビアに渡航し、そこからおそらくシリアに渡ったリビア系英国籍の男が、過激化して犯行に及んだ」と述べ、過激派組織「イスラム国」(IS)との接点を示唆した。
英タイムズ紙は、現場の監視カメラの映像などから同容疑者が爆発物をスーツケースに入れ、イベント会場のロビーの床に置いたと伝えた。英BBCは、テロに使われた爆発物の精巧さから、爆発物は同容疑者の自作ではなく、当局が製造者や製造拠点を探しているとの見方を報じた。また米テレビ局NBCは、米当局の情報として家族が治安当局に同容疑者について「危険だ」と情報提供していたと報じた。(マンチェスター=渡辺志帆)