2009年エビアン・マスターズで米ツアー初優勝を果たした宮里藍=ロイター
「藍ちゃん」と親しまれ、人気と実力で女子ゴルフ界をリードしてきた宮里藍が26日、引退を表明した。18歳でプロデビューし、20歳で渡米、そして現在31歳。ともに戦ってきた仲間や関係者からは、感謝と惜しむ声が上がった。
ゴルフ宮里藍、今季限りで引退 29日に記者会見へ
「来年で終わろうと思っている」。昨年10月の台湾選手権で、ともに米ツアーで戦ってきた宮里美香は宮里藍に呼び出され、引退を打ち明けられたという。宮里美は「その時には決意が固まっていた。だからあえて『どうして』とは聞かなかった。もうやり切ったんだと感じた」と話す。米ツアーでの通算9勝は、岡本綾子の17勝に続く日本勢2番目の実績だ。「どんな状況でも自然体を貫き、不調時も苦しさは全く見せなかった。私にとっては格好いい、良きお姉さん」
宮城・東北高の2学年後輩で、米ツアーでも一緒だった有村智恵も昨年末、東京都内のカフェで引退を告げられていた。有村は「引退の理由ははっきり聞いていない」とした上で、「向こう(米)で10年やって、疲れただろうなとは思う」と語った。「彼女がいなかったら、下の世代はいなかったと思うくらい。きっかけを作ってくれた」。155センチの体で戦う姿に、多くのゴルフ少女が勇気づけられた。昨年17歳でプロ転向した畑岡奈紗も、宮里藍を目標に掲げて渡米した。
シーズン真っ最中の引退発表について、有村は「彼女らしい」と言う。今季は地元・沖縄で開催された開幕戦のダイキンオーキッドレディスに6年ぶりに参戦し、すでに国内3試合に出場。来月8日からは所属先が主催するサントリーレディスに出る。2006年に米ツアーを主戦場として以来、これほどのペースで国内ツアーに出たことはない。有村は「日本のゴルフ界に恩返しをしてから(引退)と思ったのでは」。
日本女子プロ協会の樋口久子相談役は「日本ゴルフ界への功績は大きい。残念だけど、やり尽くしたのかも。惜しまれる」と語った。同協会の小林浩美会長は「これまで大きな期待とプレッシャーの中、素晴らしい実績を作り上げた。この先またたくさんの可能性が開かれることと思う」とコメントした。(渡辺芳枝、榊原一生、有田憲一)
〈みやざと・あい〉 沖縄県東村出身。父の影響で4歳からゴルフを始めた。宮城・東北高3年でプロ転向し、日本ツアー通算15勝、米ツアー通算9勝。兄の聖志、優作もプロ。155センチ、52キロ。
■宮里藍の主な実績
2003年
・日本ジュニア選手権、日本女子アマ選手権優勝
・宮城・東北高3年でミヤギテレビ杯ダンロップを制し、プロ転向。史上初の高校生プロ選手に
04年
・日本女子選手では史上最速となるプロ転向4戦目でダイキンオーキッドレディス優勝
・年間5勝で、賞金ランキング2位
05年
・国内最高峰の日本女子オープンで、当時史上最年少(20歳)で初優勝
・年間6勝で、賞金ランキング2位
06年
・米ツアーに本格参戦
・メジャー大会の全米女子プロ選手権で3位に
・日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯で、当時史上最年少(21歳)で優勝
09年
・エビアン・マスターズで米女子ツアー初優勝
・米賞金ランキング3位
10年
・男女通じて日本勢初の世界ランキング1位に
・日本勢最多の米ツアー年間5勝
12年
・米ツアーで4年連続優勝を果たし、通算9勝目