三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日、準天頂衛星「みちびき2号」を載せたH2Aロケット34号機を6月1日午前9時17分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げると発表した。みちびきは日本のほぼ真上(準天頂)から米国のGPS(全地球測位システム)を補う信号を出す衛星。高精度な位置情報を提供する日本版GPSの構築を目指す。
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みちびきの電波はビルや山などに遮られにくく、GPSと一体で利用すれば、10メートル前後とされる従来の測位の誤差が数センチになるという。打ち上げは2010年9月の1号機以来。1機が日本上空にいるのは1日8時間に限られるため、政府は年内に3、4号機を打ち上げて4機体制とし、来年度から24時間使えるようにする計画。
利用には対応するカーナビゲーションやスマートフォンなどが必要。高精度の位置情報を使って、農機や自動車を無人で動かす実証実験も進んでいる。
内閣府によると、2~4号機の開発と打ち上げの費用は899億円。地上管制システムの開発と運用に1188億円を見込む。さらに、2020年に耐用期限を迎える1号機の後継機も必要になる。政府は23年度をめどに、GPSに頼らず自国周辺の位置測定ができる7機体制まで拡充する方針を掲げている。(原篤司)