中国のお家芸の卓球がスキャンダルに揺れている。元五輪金メダリストで女子ナショナルチームの孔令輝ヘッドコーチ(41)がシンガポールのカジノで2年前に借金し、約45万4千シンガポールドル(約3600万円)が未返済になっている疑惑が発覚。本人は賭博への関与を否定しているが、中国卓球協会は30日、ドイツの世界選手権に派遣中の孔氏を停職処分にして帰国を命じた。
借金疑惑は、シンガポールのカジノ運営会社が香港の裁判所に返済を命じるよう求めたと香港メディアが報じて発覚した。カジノ側は孔氏が100万シンガポールドルを借り、半分強しか返していないとしている。
孔氏は自身のブログで、2015年2月の春節(旧正月)に両親や親友と旅行した際、親友がカジノで遊び、自分は横で見ていただけと主張。ただ、チップは自分の名前でもらったと説明した。借金については報道を受けて親友に連絡し、初めて知ったとしている。
中国ではナショナルチームのコーチは国家公務員扱いで、孔氏は共産党員でもある。反腐敗に力を入れる習近平(シーチンピン)指導部の下、公務員や党員の賭博は御法度だ。協会側は「孔氏の説明通りだとしても、公務員の管理規定や規律に著しく反している。調査した上で厳重に処分する」としている。
孔氏は、アトランタ五輪男子ダブルス、シドニー五輪同シングルスで金メダルを獲得した。一方で、06年には飲酒運転で事故を起こし、罰金と免許停止処分を受けたことがある。(北京=延与光貞)