フィリピンの首都マニラの複合型リゾートホテルで男が発砲して放火し、37人が死亡した事件で、アルバレス下院議長は3日、「明らかに『一匹おおかみ』型のテロ攻撃だ」との声明を出した。警察は、ホテルにあるカジノのチップを狙った強盗事件との見方を強めているが、国内では異論が出ている。
マニラのホテルで男が発砲・放火 37人死亡65人けが
アルバレス氏は声明で「強盗事件だったという当局の結論に納得できない。警察や軍が密接に協力して、政治や経済の活動をテロから守るよう、目を覚ますべきだ」と求めた。一方、ロレンザーナ国防相も2日、「テロの可能性を排除したわけではない」と述べた。
事件では、過激派組織「イスラム国」(IS)の東アジア支部を名乗る組織が2日、犯行声明を出した。だが、警察は、現場で焼身自殺した容疑者の男が客や従業員を撃っていないことなどからテロ説を否定している。
ドゥテルテ大統領も3日、同国南部ミンダナオ島で「これはISの仕業ではない。ISはもっと残酷に、意味もなく人を殺す」と報道陣に語った。
容疑者の身元の特定が難航していることも、テロか強盗かの断定を難しくしている。ISの犯行声明には男のアラブ風の名前が記載されていたが、男は身分証を所持しておらず、遺体の損傷も激しい。
警察によると、男は身長185センチ前後で、40~45歳とみられ、ライフルと拳銃を持っていたという。事件で死亡した37人には台湾人3人と韓国人1人が含まれ、負傷者は米国や韓国、マレーシアなど複数の国籍の計76人に上っている。(マニラ=古谷祐伸)