安倍晋三首相が、中国主導の「シルクロード経済圏構想(一帯一路)」に協力する立場を初めて対外的に示した。中国外務省も6日、「歓迎」を表明。日本は来年の首相訪中も視野に相互訪問の実現を目指しており、両国はともに相手の出方を見極めながら関係改善のかじ取りを進めていく構えだ。
安倍首相は5日、東京都内でベトナム、ラオス両国首相やアジア各国の政府高官らが参加した国際会議に出席。一帯一路について「洋の東西、その間の多様な地域を結びつけるポテンシャルを持った構想」と評価。万人が利用できるよう開かれることなどが不可欠だとしつつ「日本も協力していきたい」と述べた。
首相の発言を受け、中国外務省の華春瑩副報道局長は6日の定例会見で「一帯一路は両国がともに発展する新たな舞台になりうる。日本が中国と一緒に協力発展を検討することを歓迎する」と応じた。
安倍政権はもともと一帯一路は経済、安全保障両面で中国が周辺国に影響力を強める狙いがあるとみて警戒していた。しかし、弾道ミサイル開発を進める北朝鮮への対応に中国の協力は不可欠。今年は日中国交正常化45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年の節目を迎える。5月には二階俊博・自民党幹事長が訪中し、日中首脳の定期往来を呼びかける首相親書を習近平(シーチンピン)国家主席に渡した。
日中関係筋によると、日本側は…