駐在所の前で住民と話す吉村修身巡査部長(左)ときよえさん=奈良県生駒市、加藤諒撮影
奈良県警の吉村修身(おさみ)巡査部長(62)は駐在所で住み込みの勤務を続けて約30年になる。妻のきよえさん(60)と二人三脚で地域を見守ってきた。定年後も再任用を選び、住民も「いつまでもいてほしい」と信頼を寄せる。
約4500人が住む山間地を管轄する高山駐在所(同県生駒市)。吉村さんは3カ所目のこの駐在所で、18年にわたって勤務してきた。
昼ごろ、窓から近所の男性が歩いてくるのが見えた。きよえさんが笑顔で迎え、世間話をしつつ中に通した。「今日はどうしました?」と吉村さん。横からきよえさんがお茶を出した。
1日2度のパトロールで住宅を回って困りごとを聞く。ため池周辺で釣り人の違法駐車に困っていると聞けば、池の管理人や自治会に頼み、釣り禁止の看板を設置してもらった。
もともとは刑事志望。年月を重ね、駐在所の仕事に魅力を感じ始めた。家に帰らない不良少年らを駐在所に招き、きよえさんが作ったカレーをふるまった。一緒に銭湯に行き、親に対する愚痴やけんかの話を聞いた。
「先生」と慕われ、結婚式に2…