浸水前のJR大阪駅前のイメージ(国土交通省提供)
国土交通省近畿地方整備局は14日、大阪府、京都府を流れる淀川(宇治川を含む)、木津川、桂川で洪水が起きた場合の新たな浸水想定区域を公表した。「千年に1度」の豪雨の場合に家屋が押し流されるなどして倒壊する危険性が高い区域を新たに示し、面積は大阪、京都の17市町の55・5平方キロメートルに及ぶ。
災害大国 被害に学ぶ
各地で相次いだ想定以上の豪雨災害を受けて2015年に改正された水防法により、国交省は災害規模の想定を「千年に1度」に変更。淀川水系で基準となる大阪府枚方市の上流域での最大降雨量を、02年の想定で使った「2日間で500ミリ」から過去最大を上回る「24時間で360ミリ」に変え、近畿地整が管理する部分について浸水想定区域を示した。
その結果、最大で約230カ所の堤防が決壊し、大阪府と京都府の27市町で浸水被害が発生。浸水面積は大阪市の面積(223平方キロメートル)を上回る計265平方キロメートルと予測した。想定する降雨量は増えたものの、02年の想定時よりシミュレーションの精度が100倍に向上したことで、浸水面積の想定は316平方キロメートルから縮小した。
最大の浸水の深さは、京都府木津川市で8・9メートル、宇治市で8・7メートル、大阪府高槻市で8メートル、大阪市旭区で7・2メートルとなり、20市町で家屋の2階が水没する5メートル以上の浸水が発生。JR大阪駅周辺でも最大2・5メートルの浸水が予測された。
河川の氾濫(はんらん)で木造家屋が倒壊する危険性が高い区域は17市町の河川沿いに集中し、大阪府内で計22平方キロメートル、京都府内で計33・5平方キロメートルに及ぶ。京都府八幡市や京都市伏見区、高槻市などで被害の大きい区域が広くなる。
徒歩での避難が困難になる50センチ以上の浸水が続く期間は、淀川河口で標高が低い大阪市西淀川区などで長引き、大阪府の茨木市や高槻市でも14日間続くとされた。
今回の想定に基づき、各自治体…