東京電力福島第一原発事故に伴う除染事業を巡る汚職事件で、収賄罪に問われた元環境省福島環境再生事務所職員の鈴木雄二被告(57)=福島県南相馬市=の判決が29日、福島地裁であった。宮田祥次裁判長は懲役1年執行猶予3年、追徴金23万559円(求刑懲役1年追徴金23万559円)を言い渡した。
宮田裁判長は「除染事業は被災地の早期復興が望まれる中、迅速かつ確実な履行が強く期待されていた。その期待を裏切った」と量刑の理由を述べた。
判決によると、鈴木被告は再生事務所の職員だった2015年9月、富山県の土木会社の元社長(64)=贈賄罪で罰金50万円の略式命令=から、大手ゼネコンJV(共同企業体)の下請けに入れるよう口利きを頼まれ、20万円相当の飲食や宿泊の接待と、現金約2万5千円を受け取った。見返りとしてJVの担当者に富山県の土木会社を下請けに入れるよう働きかけた。
環境省は鈴木被告を6月16日付で懲戒免職にしている。