9日にあった滋賀大会開会式に参加した小林剛昇審判員(左から2人目)=大津市の皇子山球場、北川サイラ
滋賀県野洲市の会社員小林剛昇(たけのり)さん(25)は、滋賀で審判を務めて7年目。練習試合も含めて審判を担った試合数はこの2年間で計258。滋賀県高野連審判部の中で最多だ。経験を重ね、高校時代にかなわなかった甲子園の舞台を目標に、球児たちを見守る。
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10日午後、皇子山球場の石部・信楽―八幡工戦に二塁塁審として今大会初めてグラウンドに立つ。
小林さんは大津商出身。高校時代は外野手で、甲子園を目指したが3年の滋賀大会では準々決勝で敗退した。引退後の8月、後輩の練習試合で審判を手伝ったときに、一緒にした審判員に誘われ、軽い気持ちで2011年3月の卒業時に審判部に入った。
だが、いざやってみると難しい。守備妨害など、選手時代にはちゃんと覚えていなかったルールが膨大にあった。打球の行方や走者の位置で審判員同士のカバー範囲も変わり、状況判断も動きも複雑だ。「できると楽しいけれど、自分の判断一つで勝敗を決めてしまうので、責任も重い」
平日は会社勤務後、自宅でルールが細かく書かれた「手引き」を読み、高校野球の動画などで先輩審判の位置や見方を学んだ。週末には積極的に練習試合に足を運び、ストライクゾーンの判断、コールのタイミングや腕の位置など、細かな部分まで気を配りながら腕を磨いた。気づけば15年度は131試合、16年度は127試合を経験。県高野連の岡田和男審判部長は「試合後に電話をかけてアドバイスを求めてくる、とても熱心な若手」と期待する。
目標は、甲子園に審判として出場することだ。努力を重ねられているのは、高校時代への後悔があるかもしれない、と話す。
2年のとき、練習試合で出場機会がないと落ち込み、練習に身が入らない日もあったと振り返る。「今思えば、100%努力したかと言われるとそうじゃなかったかなって。そんな自分が嫌で、その反動で頑張っているのかも」と笑う。(北川サイラ)