ベルリン市内で建設中の集合住宅。欧州中央銀行(ECB)の金融緩和の恩恵もあって住宅需要が伸びているが、価格も急上昇している=寺西和男撮影
欧州中央銀行(ECB)は20日、金融政策を話し合う理事会を開く。ユーロ圏ではデフレ懸念が後退し、9月に総選挙を控えるドイツでは緩和縮小を求める声が強まっており、9月にも量的緩和の縮小を打ち出すとの観測が出ている。
ECBは国債などを買って市場にお金を流す量的緩和を2015年3月に開始。買い入れ規模は今年4月から、それまでの月800億ユーロ(10・3兆円)から月600億ユーロ(7・7兆円)に縮小したが、少なくとも12月末まで続ける。
ECBは経済状況に応じて量的緩和を拡充する方針を維持してきた。しかし6月の理事会で追加利下げをしないと決定。緩和拡充も見直し、緩和縮小を明確に打ち出すかが注目される。
市場では、早ければ9月の理事会で、量的緩和を来年1月以降も延長したうえで、買い入れ額を段階的に減らす方針を示す、との見方が強い。
ユーロ圏では、6月の物価上昇率は前年同月比1・3%と、ECBが目安とする2%弱を下回る。そうした中、緩和縮小の議論をリードするのは経済が堅調なドイツだ。独政府に助言する経済諮問委員会メンバーのフォルカー・ウィーラント氏(ゲーテ大教授)は「ユーロ圏の経済は危機でないのに、金融政策はまだ危機モードだ」と、ECBは緩和からの出口戦略をすぐに打ち出すべきだと訴える。
金融緩和の副作用への懸念も強…