公取委が認定した下請けいじめの構図
コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパン(東京)が、弁当などの食品やプライベートブランド(PB)商品の製造を委託する業者に対する支払代金を不当に減額していたとして、公正取引委員会は21日、下請法違反(減額の禁止)で是正勧告を出し、発表した。巨大な市場を抱えるようになったコンビニ業界に対して、公取委は「下請けいじめ」の監視を強めている。
■計76業者に2.3億円
セブン社は、おにぎりやサンドイッチなどの「デイリー商品」や、レトルト総菜、パン、デザート類、ペットボトル飲料などの「セブンプレミアム」といったPB商品の製造を下請け業者に委託し、各店舗で販売している。
公取委によると、同社は少なくとも2015年9月~16年8月、製造委託業者に対し、本社から各店舗に配信する電子カタログの制作費用などを「商品案内作成代」名目で負担させたほか、新規や改装オープンする店舗のセールの際の値引き分を「新店協賛金」として支払額から差し引いていた。不当な減額は、76業者に対して約2億3千万円にのぼっていた。
セブン社は今年6月末時点で1万9588店舗を全国に展開。年間売上高は4兆5千億円超。公取委の調べに対し、「発注が増えれば下請けの売り上げも増え、利益につながる。少しはバックさせても問題ないと思っていた」と説明したという。
セブン社は不当減額分の支払いを済ませたといい、「下請法遵守(じゅんしゅ)に関する社内研修を実施するなど、コンプライアンス強化と再発防止に努める」とのコメントを出した。
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〈下請けいじめの防止〉 下請法は、発注時に決めた下請け代金について、納期遅れなどの場合を除き、発注額からの減額を禁じている。発注側との力関係が影響するため、下請け側が合意した場合も違反となる。公取委が16年度に指導した件数は、製造業や卸売業など計6302件にのぼり、過去最多となった。