娘のガザルちゃんを抱いてカウンセラーと話す17歳の少女(右)=ヨルダン・ザルカ、大久保真紀撮影
シリア内戦が始まってから18歳未満の少女が結婚する「児童婚」が急増している。少女たちの苦境に難民生活が追い打ちをかける。(編集委員・大久保真紀)
父が目の前で吹き飛んだ 言葉失ったシリア難民の子
大粒の涙がほおをつたう。「結婚は、私の子ども時代を壊した」。深緑のベールをかぶったシリア難民の少女(17)は絞り出すように言った。
ヨルダンの首都アンマンから北東約40キロの街、ザルカ。モスクの隣に、子どもや若者を支援するセンターがある。その一室で、少女は7カ月の娘ガザルちゃんを抱きながら語った。
シリア北部ラッカの出身。15歳のとき、5歳上の床屋の男性と結婚した。内戦が始まって3年がたっていた。夫は父の親類。父が申し出を受け入れ、少女は学校をやめた。
「結婚のことを何も理解していなかった。生活は、すべてが難しかった」。婚家の家族は計20人。料理やそうじを任された。姑(しゅうとめ)につらくあたられ、夫は暴言を吐き、暴力を振るった。
実母の理解を得て、7カ月後に実家に戻った。結婚時に実家が受け取った20万シリアポンド(当時のレートで約13万円)は返さなくてはならない。シリアでは年収にあたる額という。
内戦が激しくなり、昨年、妊娠…