左舷の船首部分が損傷した高速船(神戸市中央区、第5管区海上保安本部提供)
神戸空港近くの海上で26日夜、神戸空港と関西空港を結ぶ高速船「神戸―関空ベイ・シャトル」が航空機用の誘導灯に衝突した事故で、神戸海上保安部は27日午前、業務上過失致傷容疑で本格捜査を始めた。船長らから任意で事情を聴くとともに、誘導灯周辺や船内を調べている。一方、国の運輸安全委員会は同日、原因の調査のために船舶事故調査官を派遣した。
高速船衝突、女性客が重体 神戸空港近くで誘導灯と
第5管区海上保安本部によると、高速船は神戸市の外郭団体「OMこうべ」が所有する「そら」(定員110人、84トン)で、神戸空港の東側約600メートル沖にある誘導灯に衝突した。船首左舷が大破し、下部に縦約1メートル、横約50センチの穴が開いて浸水した。船は衝突した誘導灯の東側を通る予定だったという。
事故で乗客29人のうち15人が重軽傷を負い、女性(80)が頭などを打って意識不明の重体。51~57歳の男女3人が胸の骨を折るなどして入院し、12~63歳の男女11人がけがをしたという。
OMこうべによると、船長から26日午後9時半過ぎに「位置を見失い、何かに衝突した」と連絡があったという。神戸海上保安部は船長らの船の位置確認や見張りが不十分だった可能性もあるとみている。
一方、OMこうべの山本朋広社長や、同社から運航を委託されている加藤汽船(同市)の加藤琢二社長ら6人が27日正午過ぎ、神戸市内で記者会見した。山本社長は「この度は大変なご迷惑をおかけして申し訳ありません」と謝罪し、6人は深々と頭を下げた。
OMこうべの幹部は「船長が進入コースを誤認したヒューマンエラーによる操船ミスと思われる」とし、船の設備に問題はなかったとの見方を示した。今後の対応について「安全を確保するために夜間運航では当面、1人増員して乗員3人で運航する」と話した。