マウンド上で優勝を喜び合い、整列に戻る下関国際の選手たち=西京、棚橋咲月撮影
(28日、高校野球山口大会 下関国際4―3宇部鴻城)
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山口大会を制した下関国際は先発のうち6人が2年。坂原監督いわく、「2年生は物おじしない子が多い」。その思いきりの良さを、ともに2年生の3、4番が見せた。
同点の六回2死一、二塁。「全然緊張しなかった」という吉村が痛烈な打球を左前に転がし、適時打。続く鶴田も適時二塁打を放って追加点。この2点が、春夏通じて初めてとなる甲子園を大きくたぐり寄せた。
準決勝までの全4試合2桁安打を記録。勢いと打力を重視するのは、打ち勝てなかった2年前の決勝からの教訓だ。それまでは「守備と走塁というチーム。打撃の重要性を感じた」(坂原監督)。冬場の1日のスイング数を2倍の2千に増やし、教室にバットを持ち込んで授業の合間の10分休憩も人のいない場所に移動してバットを振り続けた。その積み重ねが実った。
就任12年目の坂原監督にとっても、初めて手にした甲子園への出場は感慨深い。野球部の寮はなく、アパートを借りて暮らす選手もいる。選手が借りるアパートが変わると、自身もその目の前の物件を探すなどして近くに引っ越した。妻、子供3人の5人家族で、引っ越しはこれまでに計4回を数える。「ボーナスはだいたい引っ越しの費用になりますよね」と笑う。ただこうも言う。「その子の人生を預かっているので。そこは見ないと」
10月に創部52年を迎えるチームにとって初の大舞台。完投した主将の植野は「2年生には甲子園でも暴れて欲しい」。山口大会同様に、攻める覚悟だ。(堤之剛)