（１４日、高校野球 東海大菅生１１―１高岡商）

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早稲田実の清宮、日大三の桜井――。西東京大会で強打者を抑えてきた落ちる変化球があるから東海大菅生（すがお）の右腕松本は慌てなかった。高岡商の左腕土合（どあい）との根比べに勝った。

１―１の三回無死二塁、「次の１点を与えたくなかった」と中軸をぴしゃりと抑えた。六回、先に２点目を失ったのは土合の方だった。ただ、その裏、松本にもピンチが訪れた。

１死から三塁線を破られる二塁打を許す。次打者を中飛に抑え、７番土合との勝負。松本は初球、人さし指と中指でボールを挟み、打者の手前で落ちる球を投げた。空振りを誘う。２球目は低めを見送られ、ボール。３球目。タイミングを外し、遊飛に仕留めた。唇をかんだ土合と右拳を握りしめた松本の表情は対照的だった。

落ちる球を有効にするために直球も上手に使った。高岡商の伊藤は「変化球が多いと見ていたが、内角をズバズバ突いてきた」と悔しがった。松本は器用さも備えていた。普段の落ちる球は深く挟むフォーク。だが、「きょうは浮いていた」と浅く挟んで制球しやすいスプリットに変えていた。若林監督は「久々のマウンドだったが崩れずに投げてくれた。メンタルが強くなった」とほめた。

我慢し続けた松本に応えるように打線は終盤に９得点。松本は完投勝利を挙げた。「西東京大会でたくさんの強打者と対戦してきた経験を生かせた」。その自信は大舞台でも揺るがなかった。（坂名信行）

◇

○佐藤（東） 二回に先制ソロ。「公式戦初本塁打です。変化球をうまく打てた。小さい頃からあこがれの甲子園でベースを一周し、最高の気分でした」

○小玉（東） 決勝犠飛など２安打３打点の主将。「早く試合がしたかった。みんな雰囲気にも慣れたので、次は最初から自分たちの野球をしたい」