高浜虚子が湘南高の優勝を喜んで詠んだ句
阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)内にある甲子園歴史館では第99回全国高校野球選手権大会の期間中、「高校野球特別展」を開催している。その中に大正・昭和期を代表する俳人、高浜虚子の句が展示され、異彩を放っている。
最新ニュースは「バーチャル高校野球」
高校野球の動画ページ
みんなで決める「甲子園ベストゲーム47」
戦後間もない第31回大会(1949年)で、神奈川県立湘南高校が初出場優勝を飾った。同校がある藤沢市に隣接する鎌倉市に住んでいた虚子は、その感激を句に詠んで、主将の田中孝一さん(86)に贈った。
秋風や/最美の力/唯(ただ)盡(つく)す
田中さんは短冊をアルバムに挟んで大事にとっておいたが、甲子園球場のある西宮市に住む北村玲子さん(85)の自宅に飾られていた時期もあった。
北村さんは第31回大会の開会式で湘南のプラカードを持って入場行進した。全国的に男女共学化が進んだ時期で、その象徴として初めてプラカード係に女生徒が起用された大会だった。
卒業後も当時のメンバーと年賀状などで交流を続けた。北村さんが書道をしていると知った田中さんが、虚子の短冊をプレゼントしてくれたのだ。「とにかくいい字なの。私の宝物になりました」という。
2年前に田中さんに返却した後は、湘南高校内に展示されていた。それを甲子園歴史館が借りて飾っていると知った北村さんは21日、歴史館を訪れて思い出の短冊と再会した。「これを見ると当時を思い出します。私はこの甲子園で、素晴らしい経験とご縁をいただきました」とほほえむ。
「高校野球特別展」は27日まで。朝日新聞の高校野球名勝負連載「あの夏」とタイアップし、沖縄水産の栽弘義監督の野球ノートや、PL学園との延長十七回に決勝本塁打を放った横浜・常盤良太選手のバットなども展示されている。(安藤嘉浩)