見つかった「歳旦帳」にある正岡子規の2句=22日、東京都台東区、小玉重隆撮影
今年生誕150年を迎えた俳人・正岡子規(1867~1902)が、死の前年の正月に詠んだ俳句5句と自画像2点などが載った冊子が見つかった。全集などにもなく、晩年の子規の心情や様子がうかがえる資料だ。
表紙に「明治卅(さんじゅう)四年一月一日 歳旦帳」と記された和とじの32ページの冊子(縦24センチ、横16センチ)で、子規と、河東碧梧桐(かわひがし・へきごとう)ら弟子や友人13人が俳句や短歌、画をしたためている。長い間所在不明で「子規庵(あん)」(東京都台東区)を運営する子規庵保存会に数年前に寄託された個人の資料から見つかった。
子規は掲載8句のうち5句が新出。無署名だが、筆跡や、それ以前にも似た句があることなどから子規の句と判断された。
寝後れて新年の鐘を聞きにけり
暗きより元朝(がんちょう)を騒く子供哉
うらうらと初日の影や枯木立
初夢や巨燵(こたつ)ふとんの暖まり
留守の戸に名刺投込む御慶かな
脊椎(せきつい)カリエスの病状はすでに重かったが、ふとんの中から感じた新年の朗らかな雰囲気が伝わる。調査した復本一郎・神奈川大名誉教授(国文学)は「子規が目指したわかりやすい俳句になっている」という。
前年の暮れに撮影された、有名な子規の横顔写真を元に描いた自画像や、友人の画家・中村不折(ふせつ)が病床の子規を描いた画、伊藤左千夫の新出の短歌2首も載っている。
東京都台東区根岸2丁目の「子規庵」で9月1~30日に展示される(4、11、25日休み)。(小川雪)