子ども服の寄付を呼びかける田中富之社長(左)と尾関之信事務局長=大阪市鶴見区
いらなくなった子ども服を寄付してもらえば、家賃を安くします――。そんな取り組みを9月1日から、大阪市の不動産仲介会社が開始。新居の賃貸契約を結んだ顧客が、NPO法人に子ども服10点以上を送ると、1万2千円を返す仕組みだ。
日建産業(大阪市鶴見区)の取り組みで、海外の貧しい人たちに衣料品を送っているNPO法人「日本救援衣料センター」(同市中央区)が協力する。対象は、9月1日~10月31日の間、同社で入居契約をした人。寄付を受け付けるのは、シミや傷がなく、洗濯済みの春夏物の子ども服だ。下着や靴下は新品のみで、靴や帽子は除く。
宅配便で神戸市内にある同センターの倉庫に送り、送付伝票を日建産業に持参すると、1万2千円を1回だけ受け取れる。倉庫までの送料は自己負担で、倉庫から海外への送料は同社が負担する。寄付された衣料品は、アフリカや東南アジアなどの貧しい子どもたちに向けて送られる。
同社の田中富之社長(68)は元々、地元・鶴見区で民生委員や小学校PTA会長を務めており、子どもへの支援に興味があった。そんな時、友人と話すうちに、貧困に直面する海外の人たちは子ども服が不足していることを知り、家賃割引を使って寄付を促す方法を思いついたという。同センターの協力も仰ぎつつ、衣替えの時期である9、10月に実施することにした。
センターでは1982年の設立から今年7月までに、86カ国に計1万6368トンの衣料品を送ってきた。比較的、年配の人からの寄付が多く、子ども服が足りないという。「各地の支援団体から要望を受けるが、子ども服に関しては2割ほどしか送れていないのが現状。なんとか増やしたい」と尾関之信事務局長(62)。
鶴見区は0~14歳の人口の割合(2016年)が15・3%と市内で一番高い。田中社長には、子育て中の親を支援したいとの思いもあるという。「海外の子どもにも、お客様にも喜んでもらえる取り組みが広がれば」。服の送付先は、センターの倉庫(神戸市東灘区深江浜町22の2)。問い合わせは同社(06・6911・9110)へ。(吉川喬)