三菱電機の新入社員だった男性(当時25)が自殺したのは上司や先輩社員によるいじめや嫌がらせが原因だとして、男性の両親が27日、同社に1億1768万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。両親と代理人弁護士が記者会見して明らかにした。近く労災の申請もするという。
訴状などによると、男性は昨年3月に東北地方の国立大の大学院を修了し、同年4月に入社。兵庫県尼崎市の通信機製作所内のソフトウェア製造技術課に配属され、通信機器のソフト開発を担当していた。同年11月6日に「私は自殺をします。私は三菱につぶされました」などとする遺書を書き、同月17日に兵庫県三田市の社員寮で首をつって自殺した。
同年10月の社内研修で、解き方が分からないプログラミングの課題について男性からアドバイスを求められた先輩社員が「質問は受け入れない」と拒否。それなのに研修後に職場で、研修内容を十分に理解していないとして男性を他の社員の前で非難したという。さらに、別の上司も男性を助けず、非難したりあざ笑ったりしたと主張。こうした無責任な管理体制を放置した会社は、男性に対する安全配慮義務に違反したと訴えている。
三菱電機では昨年11月にも、長時間の過重労働が原因で精神疾患を発症したとして、研究職の男性社員が労災認定されている。自殺した男性の両親の代理人の嶋崎量(ちから)弁護士は「会社の労務管理が厳しく問われている」と指摘した。同社広報部は「訴状を確認のうえ、真摯(しんし)に対応してまいります」とのコメントを出した。(村上晃一)