37人が亡くなり、4人が行方不明となった7月の九州北部豪雨では、ツイッターを使った「救助要請」が相次いだ。朝日新聞が分析した約1億3800万件の日本語ツイートの中から、「#(ハッシュタグ)救助」の文言が入った救助要請は、224件見つかった。
拡散成功、救助に結びつかないことも 九州北部豪雨分析
■これで警察に届くのだろうか……
「避難できずに孤立しています」「救助をお願いします」「#救助」――。
7月6日午前11時30分18秒。昼休み中だった福岡県香春(かわら)町の高校2年生、中道龍也(りゅうや)さん(17)のスマートフォン画面に、ツイッターのメッセージが飛び込んできた。前日の大雨で孤立した福岡県東峰(とうほう)村の夫婦の救助を求める内容だった。中道さんが通う高校がある同県田川市周辺は当時、どんよりとした曇り空。「孤立しちゃうんや。大変やな」。35秒後、中道さんのアカウントをフォローしていた842人に向けてリツイートした。
そこでふと、思った。これで警察に届くのだろうか。一つ年上の彼女の言葉を思い起こした。「口だけでなく行動で表さなね」
その場で110番通報し、内容を説明した。果たして信じてもらえただろうか。少しすると、地元の田川署から着信があり、同じ内容を伝えた。その後、被災地に近い朝倉署から電話で告げられた。「いま、救助に動いています」
■見よう見まねで初めて投稿
中道さんが110番通報するきっかけとなったツイートの投稿者は、孤立していた夫婦の娘とその夫。連絡が取れなくなった両親の身を案じ、東峰村から約400キロ離れた兵庫県の自宅で投稿した。ツイッターはおろか、SNSを使ったことがなかった。
村は当時、記録的な豪雨による…