記者会見で笑顔で質問に答える村上茉愛=平井隆介撮影
「ゴムまり娘(むすめ)」って呼んで――。カナダ・モントリオールであった体操の世界選手権女子種目別ゆかで金メダルを取った村上茉愛(まい)(日体大)が11日帰国し、東京都内で開かれた記者会見で、そうアピールした。
村上茉愛、女子ゆかで金メダル 体操世界選手権
日本女子として世界選手権で63年ぶり2人目、ゆかでは初の金メダルに輝いた21歳の村上は、恵まれた脚力とバネのような跳躍力が持ち味。一部のメディアがその異名を使っていることを本人も知っていたようで、「昔からバネのある力強い演技を目指してやっている。自分で言うのもなんですけど、ゴムまり娘がいいかな。そう呼んでください」と照れながら話した。
1992年バルセロナ五輪の男子種目別ゆかの銀メダリスト池谷幸雄さんが指導するクラブで、村上は小学校に入学する前から体操を始めた。「体操選手はある意味で役者である」との池谷さんの方針の下、子役としてテレビCMに出演。約600人のオーディションを勝ち抜き、TBS系列のドラマに出たこともある。
そんな度胸満点の村上の良さが、今回のゆかの演技に生かされた。個人総合で4位と涙をのんだ2日後に迎えた種目別ゆかの決勝で、「ゆかの演技の中で一番大事だと思っている」という片足での4回ターンから、村上の代名詞でもあるH難度のシリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)の着地も止めた。「大学に入ってから一番調子のいい試合だった。同期や家族など会いたい人が多くて、今までの国際大会の中で一番早く日本に帰りたいと強く思った」。カナダ国内での移動便が遅れた関係で帰国が丸一日遅れたこともあり、ようやく帰ってこられた喜びを口にした。「早くおすしを食べたいし、早く友達に会いたいです」
来年以降の世界選手権、そして3年後の東京五輪に向けては「私だけでなく、日本は器具(平均台、段違い平行棒)がまだ弱い。この2種目を強化していきたい」と語った。(平井隆介)